医療保険は外国人でも加入できる?加入条件と入り方をFPが解説

日本には「国民皆保険制度(こくみんかいほけんせいど)」という公的な医療保険制度があります。

国民は必ず何かの医療保険に加入しなければならないとされる制度ですね。

国は公費を投入し、

・国民全員が国民皆保険制度を通じて最高レベルの平均寿命と保険医療水準を実現できるよう
・国民全員の安全・安心な暮らしを保障していけるよう

この制度を維持しています。

公的医療保険制度のお陰で、私達は実際にかかっている医療費の1割~3割という少ない金額で、高度な医療を受ける事ができます。

しかも自由に自らが選んだ医療機関で(フリーアクセス)。

その上、高額療養費制度では自己負担すべき上限も決められていて、それを超えた分は国が負担してくれます。

大変有難い制度ですよね。

そんな、日本の公的医療保険制度ですから、日本の国民のための制度だと思われているかもしれませんが、そうではありません。

日本にいる外国籍の人にも大いに関係しています。

それは、そういう人達も高レベルの医療を受けられ、安全・安心な暮らしを実現できるようにという事でしょうね。

とても大事な事だと考えますし、日本は親切な国ですよね。

という訳で、ここでは以下の5つにポイントを絞って、外国人と日本の医療保険制度について説明します。

1、日本の公的医療保険に関係する外国人とは、どんな外国人なのか?
2、外国人が加入すべき公的医療保険
3、問題点①、制度の悪用
4、問題点②、弱者としての外国人労働者
5、民間の医療保険と外国人

日本の公的医療保険に関係する外国人とはどんな外国人なのか?

日本にいる外国人と言っても、色んな人がいますよね。

単なる旅行者から、イベントのために来日している芸術家のような人達、学生、労働者等の一定期間滞在者、日本人と結婚して日本で暮らしている人等々。

そして実はこの活動の種類が、公的医療保険制度と外国人の関係に影響を及ぼします。

そういう意味では、国籍は公的医療保険制度にはそれほど関係ありません。

公的医療保険制度に関係してくる外国人とは、以下の人達です。

在留期間が3ヶ月を超える外国人

我が国の外国人労働者の受け入れは「出入国管理及び難民認定法」(入管法)が定める在留資格によって規制されています。

ただ単に労働を目的とする入国・在留は認められていません。

在留資格とは、日本に入国・在留する外国人に対して、その外国人が行う活動の内容などに応じて与えられる一定の資格です。

そして在留期間は、活動の内容によって以下のように定められています。

表1 在留資格が与えられる活動と在留期間(抜粋)(平成28年4月現在)

在留
資格
   該当例 在留期間 在留
資格
    該当例 在留期間
外交 外国政府の大使,公使,総領事,代表団構成員等及びその家族 外交活動の期間 留学 大学,短期大学,高等専門学校,高等学校,中学校及び小学校等の学生・生徒 4年3月,
4年,3年3月,3年,2年3月,2年,1年3月,1年,6月又は3月
公用 外国政府の大使館・領事館の職員,国際機関等から公の用務で派遣される者等及びその家族 5年,
3年,
1年,
3月,
30日又は15日
家族
滞在
在留外国人が扶養する配偶者・子 5年,4年3月,4年,3年3月,3年,2年3月,2年,1年3月,1年,6月又は3月
教授 大学教授等 5年,3年,1年又は3月 報道 外国の報道機関の記者,カメラマン 5年,3年,1年又は3月
芸術 作曲家,画家,
著述家等
5年,3年,1年又は3月 医療 医師,歯科医師,看護師 5年,3年,1年又は3月
宗教 外国の宗教団体から派遣される宣教師等 5年,3年,1年又は3月 企業内転勤 外国の事業所からの転勤者 5年,3年,1年又は3月

また、在留資格とそれに応じた在留期間は、以下のように、日本で有する身分や地位によっても定められます。

表2 在留資格が与えられる日本で有する身分や地位と在留期間

在留
資格
  該当例 在留期間 在留
資格
   該当例  在留期間
永住者 法務大臣から永住の許可を受けた者(入管特例法の「特別永住者」を除く。)  無期限 日本人の
配偶者等
日本人の配偶者・子・特別養子 5年,3年,1年又は6月
永住者の配偶者等 永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生し引き続き在留している子 5年,3年,1年又は6月 定住者 第三国定住難民,日系3世,中国残留邦人等 5年,3年,1年,6月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)

つまり、表1、2にあるところの在留期間が3ヶ月を超える外国人が、日本の公的医療保険制度に関わってくる外国人という事になりますね。

在留期間3ヶ月以下でも公的医療保険に加入しなければならない(できる)外国人


例外として、下記のような在留資格をもって滞在する人は、3か月以下の在留期間であっても、資料などにより国民健康保険の被保険者と認められる場合があります。

・興行
・技能実習
・家族滞在
・特定活動(医療を受ける活動またはその人の日常生活上の世話をする活動を目的として入国・在留する人は除きます。)

外国人が加入すべき公的医療保険


私達が加入すべき公的医療保険は、会社員や公務員なら健康保険、学生や自営業者なら国民健康保険、というように、職業などで異なりますよね。

外国人も同じです。

以下、立場が異なる外国人達が入るべき公的医療保険について説明します。

労働者

以下に該当する労働者は除きます。

期間2ヶ月以内の雇用者、臨時雇用者、所在地が一定しない事業所の雇用者、季節労働者、常時雇用している人数が5人未満の個人の事業所の雇用者、個人事業主など。

その上で、外国人労働者も日本人労働者となんら変わる事はありません。

国籍に関係なく(後述しますが、社会保障協定の適用がある外国人は除きます)、勤務先で健康保険組合、全国健康保険協会(協会けんぽ)、共済組合、国民健康保険組合などに加入する必要があります。

加入するかしないかを選択する事はできません。

保険料は、お給料に応じた金額を会社と本人とで半分ずつ負担します。

本人の負担額は毎月の給与から引かれます。

日本人の場合と全く同じですね。

労働者以外の外国人

2012年(平成24年)7月9日、「住民基本台帳法」が改正され、外国人の住民についても住民票が作成されるようになりました。

それに伴い、在留期間が3ヶ月を超える常用雇用の労働者以外の外国人(つまり職場で健康保険に入っていない人。その被扶養者も含まれます)は、国民健康保険に加入しなければいけなくなりました。

それまでの外国籍の人の国民健康保険の加入要件は、在留期間1年以上が決定している事でしたが、それが3ヶ月と短くなったという事です。

但し、在留期間が3ヶ月以上でも国民健康保険に加入する事を義務付けられない人(できない人)がいます。

以下のような人達です。

・在留資格が「特定活動」の人で、医療を受ける活動またはその人の日常生活上の世話をする活動の人

・在留資格が「特定活動」の人で、観光、保養その他これに類似する活動を行う18才以上の人、またはその人と同行する外国人配偶者の人

・在留資格が「外交」の人

・生活保護を受けている人

・社会保障協定で、日本の医療保険制度を適用せず本国の医療保険制度のみを適用する事になっている人(アメリカ、ベルギー、フランス、オランダ、スイス、ハンガリー等。協定の内容は、医療保険に関しては二重払いの防止)

・75才以上の人(後期高齢者医療制度の対象)

問題点①、制度の悪用


治療を受けたくて来日した外国人は、医療滞在ビザを取り全額自己負担で治療を受ける事になります。

既に述べた通り、治療を受ける事を目的として来日した外国人は、日本の公的医療保険に加入する事ができませんからね。

一方で、日本の公的医療保険に加入でき治療を受ける外国人もいます。

加入できる(しなければならない)外国人についても、既に述べました。

ところが、公的医療保険制度を利用して日本で治療を受けた外国人の中に、本当は初めから治療目的で来日したのでは?と疑われるケースが多数あり、それが後を絶たないと言うのです。

つまり安く治療を受けるために、不正に公的医療保険に加入したと疑いたくなるケースですね。

そんな外国人の多くは、中国やその他のアジア地域からの人達です。

来日する前から日本の病院を予約していて、肝炎の治療や高額な抗がん剤、移植医療など、高額・高度な治療を受けるとの事です。

公的医療保険を使い高額療養費制度を適用されれば、100万円、或いはそれ以上に費用のかかる治療を9万円足らずで受けられます。

そして治療が終ると、早々に帰国するというのです。

正に治療目的の来日で、高額療養費制度の悪用だと疑えますよね。

また出産育児一時金についても、日本の医療制度では海外で出産しても支給されるため、母国の病院が発行した出産証明書をもって受給しているという事です。

果してその出産証明書は本物なのでしょうか?

このような現象は「タダ乗り」と呼ばれ、問題視されています。

厚労省も、国保加入や給付の際に、より厳正な審査や確認を行うなどの対応策の検討を始めています。

しかし高額療養費制度の悪用以前に、公的医療保険制度に加入できなければこんな問題は起きないわけで、日本の公的医療保険への加入が容易な事がこうした問題を招いたとも言えるわけです。

公的医療保険への加入を容易にしているのは、以下の2つですよね。

2012年(平成24年)の「住民基本台帳法」


住民基本台帳法がその温床になっている事は明らかでしょう。

それまでは、在留期間1年以上が決定していないと外国籍の人の国民健康保険の加入は認められなかったのに、それが住民基本台帳法によって在留期間3ヶ月でよくなったわけですからね。

悪い事を考える人間達にすれば、ハードルが下がった、しめしめという感じになっても無理のないくらいの甘さですよね。

この法改正の目的は何なのでしょうか?

それについて日刊SPA!に書かれているのは、

「安倍政権も推進する『高度人材外国人の獲得』と関係があるのでは。実際、国保は生活にゆとりのない留学生にはありがたい制度で、そのおかげで有能な人材が日本に集まっているという側面もある」

引用_来日中国人が国保に加入。大富豪でも「最低ラインの保険料」ですんでしまう状況を放置しているのはなぜ?|日刊SPA!ぺージ2

という事です。

それにしても、いくら高度な人材外国人が獲得できても、日本の根幹にかかわる1つの制度が崩壊の危機を危惧されるほどなってくるのでは、本末転倒ですよね。

なんとも間の抜けた話です。

在留資格

日本は活動の目的によって外国人に在留資格を与え、それによって在留期間というのを認めているのでしたよね。

しかしその活動の中に、正に治療目的の外国人が公的医療保険に加入するために悪用しやすいものがあります。

その活動が日本に滞在している目的だと簡単に国に認められ、国民健康保険に加入できるというものです。

例えば、以下のものです。

・経営
・技能実習生
・留学生
・扶養

扶養というのは、日本で暮らしている家族がいる場合、あたかもその家族に扶養してもらうために来日したかのように装うという事です。

それにしても、抜け道として悪用されるなんて、チェックはどのように行われているのでしょうね。

ここが厳しく管理されていれば、悪用を企む外国人が活動内容を偽って公的医療保険に加入できる資格など、手に入れる事はできないはずです。

ところで、こうした悪用にはブローカーが手を貸している例も多いとの事。

本当の目的である治療とは異なる、別の目的のビザを発行するのです。

それを利用して、治療目的の外国人達は国民健康保険に加入する訳ですね。

保険料や税金の金額は、所得を基に決められます。

従って頑張って働けば、その分、それらの金額も増えるという中で、私達、日本に長く住んでいる者は、それでもずっとそういったお金を払っています。

中には殆ど病院にお世話にならない人もいますよね。

公的医療保険制度は、言わばこういう地道で真面目な私達の営みの上に成り立っています。

一方で、特に悪用を考える外国人の場合は、偽りのビザ、治療期間だけの短期間の滞在ですから、日本での所得などありません。

従って、保険料は最低額の月額4,000円程度ですみます。

正に日本の公的医療制度はそういった人達に食い物にされているという事ですよね。

医療ツーリズムだかなんだか知りませんが、それに日本の医療保険制度が悪用されているるというのは―何度も言いますが―本当に間抜けな話ですよね。

問題点②、弱者としての外国人労働者


常用雇用されている外国人労働者が、勤務先の健康保険に入れないという状況があります。

問題点の2つ目は、外国人労働者が雇い主との関係において弱者になるケースです。

従業員を健康保険に加入させると、保険料は会社と本人が半々で負担する事になります。

しかも日本の制度では、健康保険と厚生年金保険は―年齢による制限はありますが―基本的にはセットでの加入になります。

健康保険にだけ加入するという事はできません。

日本の企業が外国人労働者を雇うメリットは、人件費を安く抑えられる事です。

本当なら、賃金を含めあらゆる労働条件の面で、国籍による差別はあってはならないのですが、格差は依然としてあります。

そんな雇用者にとって、外国人労働者の健康保険料(+厚生年金保険料)は、払わずに済めばそれに越した事のないものになります。

一方で、保険料が高い、その分お給料が減る、更には、自分は病気になった事が無いという外国人労働者の気持ちがあるのも事実です。

そんな双方の考えが一致すると、保険に加入させない・加入しないという事が起こります。

それでもやはり、家族がいる、子供がいるという外国人労働者の場合は、健康保険に入りたいと強く願います。

そういう従業員に対しても、「外国人労働者は頻繁に帰国するから」などの理由を付けて、健康保険に加入させない雇用者がいるという現実があるとの事です。

そういう労働者に対しては、支援団体が、国民健康保険に加入できるよう住民登録をしている市町村に掛け合うのですが、それが通りません。

勤務先が健康保険組合に入っているのであればそちらで、という事でしょう。

ところで、公的な医療保険に加入していない外国人が治療を必要として病院に行っても、診察を拒否する病院が増えているとの事です。

治療費が全額自己負担な訳ですから、その負担がかなり大きなものになる事は明らかです。

そんな高額な治療費を払える保証がないという事でしょうね。

もし公的医療保険が無かったら、それは私達日本人にも言える事です。

民間の医療保険と外国人


最後に、外国人と民間の医療保険の関係について、少しご紹介しておきます。

私達が民間の保険に入る時、健康状態の審査以前に、これを外したら決して保険には入れないという条件があります。

それは、仕事をしている事、です。勿論、学生や高齢の方は除きます。

その上で予算やら健康状態やらの話が始まるわけですね。

外国人が日本で販売されている民間の医療保険に入る時も、仕事をしている事が必須条件で、それからは日本人と同じ経緯をたどります。

しかし更に外国人であるがゆえに求められる必須条件があります。

それは、日本語の理解が十分である事、それだけです。

保険に加入する時には、契約内容の説明、健康状態の審査に至るまで、きちんとご理解頂いていないといけません。

従って日本語をきちんと理解できる事が、外国人が日本で民間の保険に入る時の必須条件になります。

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