学資保険と貯金どっちを選ぶ?現役FPが2つをシュミレーション

「学資保険と預貯金、どっちがいいの?」

お子様の将来のためにお金を貯めようとお考えの親御さんから、もしもそんなご相談を頂いたら、私は、

「そりゃあ、学資保険でしょう!」と申し上げます。

これから、その3つの根拠をお話します。どうぞお付き合い下さい。

学資保険の「保険」としての機能

保険料払込免除

学資保険が「学資貯金」という名称ではない事に疑問を懐かれた人はいらっしゃいませんか?

或いは、「保険」って付いているけど一体何が保険なの?って思われた人はいらっしゃいませんか?

そうなんです、学資保険は保険なんです。保険としての頼もしい機能があるのです。

その1つは、「保険料払込免除」というものです。

貯蓄性のある保険や保障が一生涯続くという保険は何でもそうですが、保険期間とは別に保険料を払い込む期間を定める事ができます。

学資保険も同様です。

月々の生活費に負担がかからないように払いたいという人は学資金の受取りが始まる直前までに保険料を払い終えれば良いですし、余裕資金が有るからそれで一気に払いたいという人は一括前納もできるわけです。

さて、保険料払込免除についてですが、それは、保険料をまだ払っている段階で、もしもご契約者が死亡したり保険会社の定める高度障がい状態や一定の身体障がい状態になられてしまったら(この要件は保険会社によって多少の違いがあります)、以後一切、保険料は不要ですという仕組みです。

勿論、ご契約内容はそのまま継続しますので、学資金は当初の予定通り受取る事ができます。

預貯金にはこんな機能はありませんよね。

万一、掛金の負担者が死亡や障がい状態になられて一家の収入が減り、毎月の掛金が払えないなんて事になったら、解約するしかありません。

不幸の連鎖です。

育英年金

保険としての頼もしい機能の2つ目は、育英年金(養育年金)です。

ご契約者が先述の保険料払込免除に該当する状態になってしまった時には、毎年、年金を受取る事ができるというもので、その年金を育英年金(養育年金)と呼びます。

勿論、学資保険のご契約内容はそのまま継続されますので、時期が来れば学資金等も重ねて受取る事ができます。

子供の将来は何があっても守りたいから、保険の機能をもっと大きくしたいとお考えなら、育英年金(養育年金)のあるタイプを選択すれば良いのです。

「こども保険」という名称になっているかと思います。

利率が変えられる


預貯金の方法にも色々ありますが、お子様のための預貯金ですから、本気で貯めたいですよね。

従って、強制力のある方法が良いですよね。

お給料天引きで勤務先で貯蓄する方法や銀行振り込みをされたお給料から自動的に定期積金に充当される方法なら、むしろ楽ですし、うっかり使い込んでしまう心配もなく安心です。

まぁ、その方法はどんなものでも良いのですが、預貯金は皆さんがお支払になる元本から決めると思います。

つまり、月々1万円ずつとか2万円ずつとか、まとまった余裕資金がお有りなら、200万円とか300万円という風に。

そして預貯金は、そこに利息がいくら付いて、受取総額がいくら増えたという考え方ですよね。

一方、学資保険の場合は、200万円は貯めてあげたいとか300万円にしたいという風に最初に目標とする金額があり、それに対して、掛金は○○円ですという事になります。

そしてその金額は、幾つかの工夫で減らす事ができます。

その理由や工夫ポイントの詳細は別の場所で詳しく説明させて頂いておりますので、そちらでご確認頂きたいのですが、1つご紹介しますね。

皆さんもお気付きだと思いますが、保険料は被保険者によって、つまり誰にかけられた保険なのかによって異なりますよね。

実は、学資保険も同じなのです。

学資保険の場合は保険料払込免除がついている関係で、リスクが保険料に反映されます。

その結果、ご契約者が誰なのかによって保険料が増減するのです。

そんな風に、学資保険の場合は受取りたい金額を決めると、それに対する元本は工夫次第で減らす事ができるのです。

換言すれば、利率を自分達で変える事ができるという事です。

税制上のメリット

生命保険料控除


「保険」と名の付く学資保険には、税制上のメリットが2つあります。

1つは、生命保険料控除です。

毎年10月下旬頃から、皆さんが加入されている保険会社から「生命保険料控除証明書」というハガキが郵送されてくるでしょう?

それは皆さんが支払っている生命保険や医療保険、年金保険の保険料を証明するものです。

なぜ証明する必要があるかって?

それは皆さんが払っているそういった掛金を皆さんの所得から差し引いて所得を少なくするためです。

少なくなれば税金も少なくなりますよね。国がそういう風に優遇してくれているわけです。

皆さんが、会社員や公務員であれば、毎年年末に年末調整というのが為され、源泉徴収されていた1年間の所得税の一部が、お給料にプラスされて還ってくる場合があるでしょ?

或いは皆さんが自営業者なら、確定申告の際に、同じく、所得から差し引きますよね。

そうする事で税金が安くなりますよね。

預貯金には、こういった措置はありません。

但し、学資保険の保険料は一般生命保険料に含まれますので、もしもご契約者が、ご自身の保険の保険料等でこの控除枠を使い切っていらっしゃる場合は、このメリットはありません。

所得税の対象

学資保険の税制上のメリットの2つ目は、学資金などを受取られた時の税金です。

学資保険で受取るお金は、所得と見なされ所得税の対象になります。

しかし、受取り方の違いで一時所得か雑所得かに分類され、課税価格の算出方法も以下のように異なってきます。

1、学資金・祝金・満期学資金…一時所得

計算式「一時所得=総収入金額-支出金額-特別控除額」

つまり一時所得の金額は、皆さんが受取った金額から皆さんが支払った保険料を引いた上で、更に特別控除額として50万円を引いたものになります。

更には、仮に算出された一時所得が10万円になったとしても、課税価格はその1/2の金額で良いので、5万円です。

2、学資年金…雑所得

計算式 「雑所得=総収入金額-必要経費」

「必要経費=年金年額×払込保険料総額÷年金受取総額」

雑所得には、一時所得のように50万円の特別控除や課税価格は1/2といった事はありませんので、一時所得になる場合より課税価格が大きくなるかもしれません。

しかし皆さんが会社員や公務員でお給料以外に収入がなければ、上記のような所得が20万円以内であれば申告する必要はありません。

仮に皆さんが自営業者なら、それらの金額がいくらであれ、確定申告の際に他の所得と合算して申告する事になりますが、いずれにしても、学資保険で受取ったものの金額にかかわらず、単独に一定の税率で税金が引かれるという事はありません。

一方で預貯金の場合は、利息に20.315%の利子税がかかります。

今は低金利の時代で、それこそ10円しか利息が付かなくても、満期が来れば2円引かれてしまいます。

良い事ばかり言っててもいけませんね。次は学資保険のリスクについてお話します。

学資保険にあるリスク

預貯金のリスクは何だと思いますか?預入れをしている銀行の倒産ですか?

それなら、学資保険を契約している会社だって同じ事ですので、リスクという意味では学資保険の方が高いのかもしれません。

リスクだと思われそうな事として、以下の3つが考えられます。

中途解約


学資保険を中途解約をすると、戻ってくるお金(解約返戻金)は、概ね、元本割れします。

一方、預貯金は、利率が低くなるとしても元本割れを起こす事は有りません。

いつ解約しても元本は保証されています。

解約に伴う元本割れは、確かに大きなリスクかも知れませんね。

けれど、私はそうは思っていません。

その理由は、先に、本気で預貯金をしようと思うなら強制力があった方が良いとお話ししましたが、私は中途解約に伴う元本割れをも、強制力の1つと考えるからです。

人生何があるか本当に分かりません。

しかし‐自分自身についても思うのですが‐自分の命より大切な子供を自律した立派な人間に育て上げるという親の責務と覚悟を貫きたいじゃないですか。

愛するお子様のためにと準備したものは大事に守って頂きたいとの願いを込めて、私は中途解約に伴う元本割れをもお金を確実に貯めらるための強制力の1つと考えるのです。

健康状態の審査

保険と名が付く以上、学資保険のご加入に際しても健康状態の審査があります。

学資保険には保険料払込免除が付いている関係で、審査の対象となるのは、多くの保険会社でご契約者だけです(医療保険等の特約を付加された場合、被保険者であるお子様の健康告知は必須です)。

しかし審査の基準は、生命保険や医療保険等のようなものと比べるとかなり緩く、審査方法も、書類やパソコンで健康状態に関する質問に答えるといった形です。

それでもご契約者の持病や既往症が原因でご加入できない場合は、ご契約者を別の人にしなければなりません。

保険としての機能、つまり、保険料払込免除や育英年金等に鑑みて、一家の大黒柱をご契約者に選んだ人、保険料の安さを追求してご契約者を選んだ人、色んな人がいらっしゃると思います。

それなのに、最も望んだご契約者でご加入できないとなると、保険の意味が薄れるかもしれませんね。

この点は預貯金にはないリスクになるのでしょう。

利率が固定


預貯金は満期までの期間も短く、インフレ対策と言われる点では学資保険より上なのかもしれません。

学資保険は一旦契約すると、利率は固定で、設定した学資金は18年とか22年先の世の中で受取る事になるのですからね。

しかし、返戻率もそこそこありながら配当金が付く学資保険もあり、それだとインフレ対策にもなりますので、学資保険を選ぶ時には、そういう点も確認されては如何でしょうか。

貯金と学資保険、比較シミュレーション

学資保険の返戻率と預金金利を使って、それぞれどの位増えるのかを比較してみようと思います。

まずは学資保険です。

返戻率が最も高くなる条件として、お子様の加入時の年齢を0才、学資金受取開始を18才と考えます。

つまり最も長い18年間、お金を寝かせておくと考えます。

2018年6月現在、私が確認できたトップクラスの返戻率は108%後半です。

そこで、まずは返戻率108%だとどの程度増えるのかをシミュレーションしてみます。(円以下四捨五入)

受取り総額を300万円としましょう。元本(皆さんが保険料として支払う総額)をXとすると、

X×108%=3,000,000
=3,000,000÷108%
=3,000,000÷1.08
=2,777,778

つまり、皆さんは2,777,778円支払う事になり、222,222円増える事になります。

学資金の受取り方によってこれが一時所得となる場合は、50万円以上増えていないので課税価格は0円、つまりこれによる税金は発生しません。

では、これが雑所得になる場合はどうでしょう。

先述の計算式より、

雑所得=600,000-(600,000×2,777,778÷3,000,000)
=44,444

つまり、雑所得は44,444円になりますが、皆さんが会社員や公務員であれば、先述の通り、申告の必要はありませんよね。

もう1つ、今度は返戻率103%で同じ要領で計算してみましょう。

すると、元本は2,912,621円になり、87,379円増えた事になります。これに関する税金の計算は省略させて頂きますね。

次は預金です。

表1は、2018年6月現在、預金金利が高いと思われる金融機関と商品、金利をまとめたものです。

※参考URL 預貯金金利:為替・金利:マーケット:日経電子版

預金は普通預金より定期預金の方が利率は高いので、表1は全て定期預金の金利で占められています。

比較対象である学資保険の預入期間は18年でした。

表1の最も高い金利である0.2%を示す定期預金は預入期間3年なので、厳密な比較とはなりませんが、皆さんにイメージして頂くために、先に導いた学資保険の元本を使ってどの程度増えるかを計算してみます。(円以下四捨五入)

3年間の利息=2,777,778×0.2%×3
=2,777,778×0.002×3
=16,667

しかし税率20.315%の利子税がかかるので、

受取る事のできる利息=16,667×(1-20.315%)
=16,667×0.79685
=13,281

18年間の利息という事で、これを6倍します。

すると利息の合計は、13,281×6で79,686円となります。

元本の2,777,778円を足すと、合計は2,857,464円ですね。

表1

金融機関名 商品 期間  税率(%)
オリックス 大口定期預金(1000万円以上) 3年 0.2000
オリックス スーパー定期預金(300万円以上) 3年 0.2000
オリックス スーパー定期預金(300万円未満) 3年 0.2000
ソニー 大口定期預金(1000万円以上) 6ヶ月 0.1500
ソニー 大口定期預金(1000万円以上) 1年 0.1500
オリックス 大口定期預金(1000万円以上) 1年 0.1500

試しに、預金利率を1%として計算してみましょうか。

会社員の人なら、勤務先でできる社内預金の利率がこの位になる所もあります。

3年間の利息=2,777,778×1.0%×3
=2,777,778×0.01×3
=83,333

ここから利子税を引くので、受取る事のできる利息は66,404円。

これを6倍すると利息の合計は、66,404×6で398,424円となります。

これに元本の2,777,778円を足すと、合計は3,176,202円で、この位の預金金利なら学資保険より増えますね。

あとは、学資保険の保険としての機能をどう見るか、ですね。それと、還付される税金がある事。

まとめ


さて、皆さんは学資保険と預貯金、どちらが良いとお感じになりましたか?

もしかして、預入期間が長い事が、皆さんを躊躇させていますか?

結婚資金を貯めようと定期積金をしていた時代が、私にもありました。

月々2万円ずつの預け入れで2年満期、そうすると50万円になって帰ってくるというものでした。

私はお金を持たせるとついつい全部使っちゃう人間でしたので、定期積金という強制力のあるものなら確実に貯められると考えたわけです。

ところが、私は満期で50万円を受取ると、「2万円はご褒美!」なんて言って使っちゃうんですよね、48万円貯めただけでも上出来!って感じで。

しかしお金を貯めようと思っていた私の気持ちは本物だったようで、ある日、気付いたんですよね、「必要があるわけじゃないのに、短い期間で頻繁に満期が来るからいけないんだ!」って。

こうして私は、もっと長期間、満期の来ない貯蓄方法を探したのでした。

貯蓄は目的に合わせて、短期のもの、長期のものと分けてお持ちになると良いですよ!

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